
皆様、こんにちは。
千賀喜心です。
日本には古くから「八百万(やおよろず)の神々」という言葉があり、山、川、海、そして私たちの日常のあらゆる場所に、数えきれないほど沢山の神様がいらっしゃいます。
神様たちのご利益は多岐に渡りますが、人間と同じように「それぞれ得意分野(強み)がある」こともしばしばです。
縁結びに強い神様、仕事運に強い神様、厄払いに強い神様など、その個性は豊かで魅力的です。
お祈りをする際、ただ漠然と手を合わせるよりも、「自分が今、どんな神様にお祈りをしていて、その神様はどんな力を持っているのか」を知ることは非常に重要。
神様のルーツや物語を知ることで、「こんなにすごい神様に見守られているんだ!」という深い安心感や幸福感を得ることができます。
参拝やご祈祷のご利益を引き出す最大の鍵は、「神様の御力(みちから)を信じる気持ち」を持つことです。
そのためにも「神様を知る」ということは、開運への第一歩と言えるでしょう。
そこで、三ノ輪相談所のコラムでは、日本の神々を定期的にご紹介しています。
第5回目となる今回のテーマは、全国的にも大人気の大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)です。

目次
大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)とは?
大国主大神は、島根県の出雲大社にご鎮座する日本を代表する神様のお一人です。
「だいこく様」という親しみやすい呼び名でも広く知られていますね。
数ある日本の神々の中でも、「縁結びの神様」としての知名度と御力は群を抜いています。
しかし、大国主大神が結ぶ「ご縁」とは、決して男女の恋愛や結婚だけにとどまりません。
友人、仕事、お金、そして素晴らしい出来事など、私たちが生きていく上で幸福になるための「すべての良いご縁」を結んでくださる、非常にスケールの大きな神様なのです。
実はこんなに名前がある?大国主大神の多彩な顔
神様は、その御力の強さや成し遂げた偉業の数だけ「別の名前」を持つことがあります。
大国主大神はその代表格であり、神話の中での成長や活躍に合わせて多くの名前で呼ばれています。
名前を知ることは、神様の持つ多様な力を知ることにも繋がります。
- 大己貴神(おおなむちのかみ): 若き日の名前。国造りを始める前の基本となるお名前です。
- 八千矛神(やちほこのかみ): 「矛(ほこ)」は武力だけでなく、男性としての魅力の象徴。数々の女神と結ばれた恋愛模様を描く際に登場する、情熱的なお名前です。
- 葦原色許男神(あしはらしこおのかみ): 「しこお」は「強くてたくましい男」という意味。過酷な試練を乗り越える力強い姿を表します。
- 宇都志国玉神(うつしくにたまのかみ): 国造りを成し遂げ、この国の魂そのものとなった偉大な名前です。
- 大物主神(おおものぬしのかみ): 大国主大神の「和魂(にぎみたま=穏やかな側面の魂)」とされ、奈良の大神神社などに祀られています。
- 大国魂神(おおくにたまのかみ): 国の魂そのものを表す名前です。東京都の大國魂神社などで祀られており、その土地や国全体を守護するスケールの大きなお名前です。
- 杵築大神(きづきのおおかみ): 「杵築(きづき)」とは出雲大社の古称(杵築大社)のこと。出雲の地にどっしりと鎮座する、偉大な神様としての尊称です。
大国主大神の豊かなご利益と「恋多き神様」の伝説
大国主大神は、国を豊かに作り上げた「国造りの神」でもあるため、そのご利益は非常に多岐にわたります。
- 縁結び・夫婦和合
- 商売繁盛・金運上昇
- 病気平癒・厄除け
- 子授け・子育て
さらに、大国主大神を語る上で欠かせないのが「数多くの女神様と結ばれた、大変モテる神様であった」という事実です。
因幡の白兎を助けたご縁で結ばれた八上比売(ヤガミヒメ)や、正妻である須勢理毘売(スセリビメ)、さらには新潟地方の美しい女神である沼河比売(ヌナカワヒメ)など、日本各地の女神たちと次々に恋に落ち、結ばれました。

古事記によれば、なんと180柱を超える子供(御子神)をもうけたとされています。
その中には、全国的に有名な神社に主祭神として祀られている強力な神様も数多くいらっしゃいます。
ここでは代表的な御子神をご紹介しましょう。
- 事代主神(ことしろぬしのかみ): 大国主大神の長男とも言える存在です。七福神の「えびす様」と同一視されることが多く、商売繁盛や豊漁の神様として絶大な人気を誇ります。「国譲り」の神話では、父である大国主大神に代わって国を譲る(最終的な承諾をする)という重要な役割を担った、非常に賢明な神様です。
- 建御名方神(たけみなかたのかみ): 新潟の女神・沼河比売(ヌナカワヒメ)との間に生まれた子で、長野県の諏訪大社にご鎮座する有名な神様です。「国譲り」の際、最後まで徹底抗戦して力比べを挑んだ勇敢な武神であり、現在でも農業や狩猟、そして強力な勝負運の神様として深く信仰されています。
- 下照比売命(したてるひめのみこと): 宗像三女神の一柱である多紀理毘売命(たきりびめのみこと)との間に生まれた美しい女神です。その名の通り、地上を明るく照らすほど光り輝く美しさを持っていたとされ、安産や子育て、和歌の神様として親しまれています。
- 阿遅鉏高日子根神(あぢすきたかひこねのかみ): 下照比売命のお兄さんにあたる神様です。雷や農業の神様として知られ、非常に力が強く、大和国(奈良県)の豪族から篤く信仰されたほか、現在も全国の由緒ある神社でお祀りされています。
このように、大国主大神の「ご縁を結ぶ力」と「豊かな生命力」は、素晴らしい御子神たちを通じて日本全国へと広がり、今も私たちの生活を様々な形で守ってくださっているのです。
古事記・日本神話で辿る大国主大神の物語
神様をより深く知るために、古事記などの日本神話に描かれた大国主大神のドラマチックなエピソードをご紹介しましょう。
1. 心優しき神様「イナバの白兎」
最も有名な神話の一つが「因幡(いなば)の白兎」です。
サメを騙したことで皮を剥がれ、海岸で泣いていた白兎に対し、他の兄弟神たちは意地悪をして嘘の治療法を教えました。
しかし、後から遅れてやってきた大国主大神は、兎を哀れみ「真水で体を洗い、ガマの穂にくるまりなさい」と正しい治療法を教え、兎の命を救いました。
このエピソードからは、大国主大神の深い慈愛と優しさが伝わってきます。

2. 須佐之男命(スサノオノミコト)との血縁と試練
大国主大神は、ヤマタノオロチ退治で有名なあの須佐之男命(スサノオノミコト)の血を引く神様(古事記では六世の孫、日本書紀では子とされる)です。
大国主大神は、スサノオの娘である須勢理毘売(スセリビメ)と恋に落ちます。
しかし、スサノオは彼を試すために、蛇のいる部屋や、ムカデと蜂がいる部屋に寝かせるなど、数々の過酷な試練を与えました。
大国主大神はスセリビメの助けを借りながらこれらの試練を見事に乗り越え、スサノオから正式に認められます。
この時、「大国主(大いなる国の主)」という立派な名を授かり、国造りを命じられたのです。
3. 平和的な解決「国譲り」
大国主大神は、日本の国土(葦原中国)を豊かに築き上げました。
しかし、天照大御神(アマテラスオオミカミ)から「その国は私の子孫が治めるべきだ」と使者が送られてきます。
大国主大神は武力で争うことはせず、天まで届くような壮大な宮殿(現在の出雲大社)を建てて自分を祀ることを条件に、平和的に国を譲りました。
以降、目に見える世界は天照大御神の子孫が治め、大国主大神は「目に見えない世界(神事や、人と人とのご縁)」を司る神様となったのです。

大国主大神の御力をいただく吉日「甲子(きのえね)の日」
大国主大神にお祈りをする際、ぜひ知っておいていただきたいのが「甲子(きのえね)」という日です。
甲子は、十干十二支(じっかんじゅうにし)の組み合わせのスタートにあたる日で、60日に一度巡ってきます。
実は、大国主大神がスサノオから与えられた試練の中で、野火に囲まれ絶体絶命のピンチに陥った際、一匹のネズミ(子)が現れて洞穴に導き、命を救われたという神話があります。
このことから、ネズミは大国主大神のお使い(眷属)とされており、「子(ね)」のつく「甲子」の日が大国主大神の縁日(神様と特にご縁が深まる日)となりました。
甲子の日は、物事を始めるのに最適な大吉日です。
この日に縁結びや金運、商売繁盛を願って大国主大神が祀られている神社へ参拝するのが良いと言われています。

大国主大神が祀られている全国の主な神社
大国主大神は、別名(大己貴命、大物主神など)も含め、全国の様々な神社でお祀りされています。
ここでは代表的な神社を10社ほど(一部)ご紹介します。
- 出雲大社(島根県) – 言わずと知れた大国主大神の総本宮。最強の縁結びスポットです。
- 神田明神(東京都) – 江戸の総鎮守。「だいこく様」として親しまれ、商売繁盛や縁結びのご利益で有名です。
- 大國魂神社(東京都) – 武蔵国の守り神として、大國魂大神(大国主大神と同神)を祀ります。
- 気多大社(石川県) – 「気」が多く集まる縁結びのパワースポットとして全国的に人気です。
- 大洗磯前神社(茨城県) – 海上の岩礁に立つ鳥居が美しく、大己貴命として祀られています。
- 大神神社(奈良県) – 大国主大神の和魂である大物主大神を祀る、日本最古級の強力なパワースポットです。
- 北海道神宮(北海道) – 開拓の神として、大那牟遅神(おおなむちのかみ=大国主大神)を祀ります。
- 氷川神社(埼玉県) – スサノオノミコトと共に、大己貴命(おなむちのみこと)として祀られています。
- 八坂神社(京都府) – 境内にある「大国主社」は、祇園の縁結びスポットとして多くの人が訪れます。
- 地主神社(京都府) – 清水寺の隣にあり、大国主命を主祭神とする歴史ある縁結び神社です。

おわりに
いかがでしたでしょうか。
大国主大神は、決して最初から偉大な力を持っていたわけではなく、ウサギを助ける優しさを持ち、数々の過酷な試練に耐え抜き、多くの恋を経験し、最後は争いを避けて平和を選んだ「愛と勇気の神様」です。
目に見えない「ご縁」という糸をたぐり寄せ、私たちが幸せに生きるための手助けをしてくださる大国主大神。
次に神社で大国主大神にお参りする際は、ぜひこの壮大でロマンチックな神話の物語を思い出しながら手を合わせてみてください。
神様の御力を心から信じることで、きっとあなたにも素晴らしいご縁が結ばれることでしょう。
三ノ輪相談所では、皆様の良きご縁と開運を心よりお祈りしております。
次回も、魅力的な日本の神様をご紹介いたしますので、どうぞよろしくお願いします。








































