本日は鎌倉の東慶寺(とうけいじ)をご紹介させていただきます。
宗派は臨済宗円覚寺派、寺格は鎌倉尼五山二位。
ご本尊とされるのは釈迦如来(しゃかにょらい)で「縁切寺、駆込寺、駆入寺」の別称もあります。
北条時宗の妻、覚山志道尼によって開かれた尼寺で建立は1285年(弘安8年)頃、「松ヶ岡御所」「比丘尼御前」とも呼ばれた格式の高いお寺です。
夫の横暴に泣く女性救済のための「縁切寺法」が定められ、 東慶寺に駆け込んだ女性は、離婚ができたと伝えられています。
多くの女性が救われましたが、東慶寺に「駆け込む=出家する」ということではなかったようです。
東慶寺には寺役所があって、駆け込んできた女性の言い分を聞き、夫を呼び出して裁判を行われていました。
現代でいうところの「協議離婚」「離婚調停」が行われてたみたいですね。
逃げ込んできた女性は御用宿で取り調べを受け、夫を呼び出して裁判が行われ、離婚が成立していたとされています。
また、殆どの夫が東慶寺に出頭する前に、いわゆる「三行半」(みぐだりはん)を書いて持参したそうです。
しかし、夫が「三行半」を提出しないと「縁切寺法」が言い渡されます。
その場合は協議離婚とは異なり、女性は寺入りして奉公しなければならなかったようです。
ですが、この場合も尼になるということではなく、三年間の修行を積んで寺を出て行くといったものであったと伝えられてます。
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■三行半(みぐだりはん)とは?
離縁状のことで、三行半くらいで書かれていたことからそう呼ばれるようになった。
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昔は女性から離婚を申し込むことができなかったので、東慶寺の存在は当時の女性にとって大きかったのではないでしょうか。
ちなみに夜間は門が閉まってることもあり、閉門時は簪(かんざし)や下駄、身に着けている物を投げ入れれば、駆け込んだのと同じに見なされていました。
また、東慶寺が建てられているのはJR北鎌倉から徒歩7分ほどの場所。
私が足を運んだのもご縁切りのご依頼を承ったからです。
東慶寺は花の寺としても有名です。
二月は梅の花が咲き、三月には木蓮(もくれん)、四月には桜、初夏から紫陽花(アジサイ)など多種多様な花が咲きます。
秋には紅葉も見られますので、長いシーズンで景観を楽しめるお寺にもなるでしょう。
門を通って奥へ進むと階段に突き当たり、その両脇には紫陽花が咲いていました。
石階段を登りきると境内が見えるようになります。
少し奥に進んで左手には鐘。
突き当りには仏像が置かれていました。
そして下記が本堂です。
本堂は自由に出入りができます。
とても落ち着いた空間で、そこにいるだけでも心が安らいだように感じられました。
当日はこちらの本堂の中でご縁切りのご祈祷を行いましたが、御朱印も授与していただけますので、お立ち寄りになられた際は是非お求めになられると宜しいですよ。
御朱印は各社寺の神仏とご縁を結ばれた証にもなりますからね。
それでは最後に当日に撮影した写真をギャラリーにしてご紹介をいたします。
立て札も撮影したのでご興味がございましたらご覧ください。