
京都市上京区。かつての平安京の中心地に、ひときわ異彩を放つ神社があります。
それが、平安時代最強の陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明公をお祀りする「晴明神社(せいめいじんじゃ)」です。
鳥居に掲げられた「五芒星(星マーク)」が印象的なこの神社は、「魔除け」「厄除け」の最強パワースポットとして、全国から参拝者が絶えません。
フィギュアスケートの羽生結弦選手がプログラム『SEIMEI』を演じたことで、その名は世界中に知れ渡りました。
今回は、数々の伝説を残す安倍晴明の正体から、境内に隠されたスピリチュアルな仕掛け、そして五芒星の本当の意味まで、晴明神社の魅力を解説します。
目次
晴明神社御祭神の陰陽師「安倍晴明」とは何者か?
小説、漫画、映画などで「超能力を使う魔法使い」のように描かれることが多い安倍晴明ですが、彼は実在した歴史上の人物です。
平安時代の公務員であり、天才天文学者
安倍晴明(921年~1005年)は、平安時代中期の「陰陽師」です。
陰陽師とは、天体を観測して暦を作り、吉凶を占い、時には呪術を用いて都を霊的に守る、いわば「国家公務員(官僚)」でした。
晴明は、歴代の天皇(朱雀、村上、冷泉、円融、花山、一条)6代に仕え、その卓越した才能で異例の出世を遂げました。
当時としては驚異的な長寿である85歳まで生き、その生涯を通じて朝廷や貴族たちから絶大な信頼を得ていました。
「白狐の子」という伝説

晴明には出生の謎が多く、「葛の葉(くずのは)」という白狐が母親だったという伝説(信太妻伝説)が残されています。
人知を超えた霊力や予知能力を持っていたことから、「彼は人間と狐のハーフではないか?」と当時の人々が噂するほど、その力は圧倒的だったのです。
晴明神社の「歴史」と「成り立ち」

創建は寛弘4年(1007年)
晴明が亡くなってからわずか2年後の寛弘4年。彼に守られていた一条天皇が、その遺業を称え、晴明の屋敷跡に神社を創建したのが始まりです。
つまり、晴明神社がある場所は、実際に安倍晴明が住み、式神(しきがみ)を使い、天体を観測していた「生活の場」そのものなのです。
戦火からの復興
創建当時は広大な敷地を誇っていましたが、応仁の乱や豊臣秀吉の都市整備、度重なる戦火によって境内は縮小。
一時は荒廃しましたが、氏子や崇敬者の手によって復興され、現在の美しい姿を取り戻しました。
古い資料によると、かつては東は堀川通、西は黒門通、北は元誓願寺通、南は中立売通という広大な範囲が晴明の屋敷だったとされています。
晴明神社の「ご利益」
晴明神社の最大のご利益は、「魔除け」「厄除け」ですが、実はそれだけではありません。
マイナスの気を祓うことで運気の流れを正常に戻し、結果として全体運を底上げする「開運」の力が非常に強いのが特徴です。
- 魔除け・厄除け:悪い気、悪運、不運を祓う強力な浄化。
- 開運全般(開運招福):厄を祓った後に訪れる、運気の劇的な好転。人生の壁を突破する力。
- 病気平癒:難病やケガを治す(晴明公がまじないで病を治した伝説から)。
- 交通安全:事故や災難から身を守る。
- 家内安全:家の中の災いを取り除く。
「最近ツイていない」「原因不明の不調が続く」という方が、不運をリセットし、幸運を受け取る土台を作るために多く訪れています。
境内の見どころとスピリチュアル・パワースポット
こじんまりとした境内ですが、強力な霊験を放つパワースポットが凝縮されています。
1. 晴明井(せいめいい)
二の鳥居をくぐってすぐ右手にある井戸。
晴明公が念力によって湧出させたと伝わる霊水です。
この水は「無病息災」のご利益があり、現在も飲むことができます(※煮沸推奨)。
特徴的なのは、水の出口がその年の「恵方(えほう)」に向くように、毎年立春の日に回転させて調整されている点です。
運気の良い方角から湧き出る水を頂くことで、体の中から浄化されます。

2. 厄除桃(やくよけもも)
本殿の右側にある、大きな桃の銅像。
古来、桃は「魔除けの果実」とされています。『古事記』でも、イザナギノミコトが桃を投げて魔物を追い払うシーンが登場しますし、「桃太郎」が鬼退治をするのもこのためです。
この「厄除桃」を撫でることで、自分の中にある厄や穢れを桃に移し、清々しい気持ちになれると言われています。

3. 御神木(楠)
樹齢推定300年の楠(くすのき)。
かつては虫除け(防虫)に使われた樟脳(しょうのう)の原料であることから、悪い虫がつかない=魔除けの象徴とされています。
この御神木は、「両手で触れて力を感じる」ことが推奨されています。
そっと手を当てて、大地のエネルギーを感じてみてください。

4. 安倍晴明公像
肖像画を元に制作された晴明公の像。
衣の下で印を結び、夜空の星を見上げて天体を観測している姿です。
静かな眼差しからは、今もこの地を守っているような威厳が感じられます。

5. 舊壹條戻橋(一条戻橋)と式神
神社の外、堀川通沿いには、かつての一条戻橋の欄干が移築されています。
「戻橋」は、「死者が蘇った(戻った)」という伝説や、「嫁入り前の女性は通ってはいけない(実家に戻ってしまうから)」という言い伝えがあるミステリアスな橋です。
晴明公は、この橋の下に自身の使い魔である「式神(しきがみ)」を隠していたと言われています。横には愛嬌のある式神の石像も置かれています。

「五芒星(セーマン)」の秘密と木火土金水
晴明神社の社紋(シンボルマーク)は、星型の「五芒星(ごぼうせい)」です。
これは「晴明桔梗(せいめいききょう)」とも呼ばれ、晴明公が考案した魔除けの呪符です。

木・火・土・金・水(もっかどごんすい)
この星マークは、単なるデザインではありません。陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)における「木・火・土・金・水」の5つの元素を表しています。
- 木(もく):樹木、成長
- 火(か):炎、情熱
- 土(ど):大地、育成
- 金(ごん):金属、収穫
- 水(すい):水、流動

スピリチュアルな「相克(そうこく)」の封印
五芒星を一筆書きで描くと、それぞれの頂点が向かい合う頂点を指します。
これは「相克(相手を打ち負かす)」の関係を表しています。
- 木は土から養分を吸う(木剋土)
- 土は水をせき止める(土剋水)
- 水は火を消す(水剋火)
- 火は金を溶かす(火剋金)
- 金は木を切り倒す(金剋木)

この「戦い・勝利・支配」の無限のサイクルを形にすることで、あらゆる魔物や災いを封じ込め、跳ね返す強力な結界として機能しているのです。
桔梗の花との関係

五芒星の形は、秋の七草の一つである「桔梗(ききょう)」の花を図案化したものでもあります。
そのため、境内には約2000株の桔梗が植えられています。
見頃は6月中旬から9月頃(初秋)。この時期に訪れると、紫や白の可憐な花と、社紋の星マークが共演する美しい風景が見られます。
まとめ:京都へ行ったら晴明公に挨拶を

千年の時を超えて、今もなお京都の街と人々を守り続ける安倍晴明公。
晴明神社は、決して大きな神社ではありませんが、その敷地に足を踏み入れた瞬間に感じる「空気の密度の違い」は、多くの参拝者が語るところです。
人生の壁にぶつかった時、悪い流れを断ち切りたい時。
ぜひ、この最強の魔除けスポットを訪れ、五芒星のパワーを受け取ってみてください。































