
島根県松江市。古代出雲の中心地であった「出雲国府」の跡地に、静寂に包まれた一社が鎮座しています。
その名は「六所神社(ろくしょじんじゃ)」。
出雲大社や八重垣神社のような華やかさはありませんが、実はこの神社、「出雲国の総社(そうじゃ)」という極めて高い格式を持っています。
神在月には全国の神々がまずここに集まるとも言われ、イザナギ・イザナミをはじめとする日本神話のオールスターとも言える六柱の神々をお祀りしています。
今回は、知る人ぞ知る最強の聖地、六所神社の歴史と、その驚くべきご利益について解説します。

目次
日本神話の主役が勢揃い!「六所」の名の由来と御祭神
六所神社の最大の特徴は、祀られている神様の豪華さにあります。
社名である「六所」とは、以下の六柱(むはしら)の神々を主祭神としていることに由来します。

■ 祀られている六柱の神
- 伊弊諾尊(いざなぎのみこと):国生みの父神
- 伊弉冉尊(いざなみのみこと):国生みの母神
- 天照大神(あまてらすおおみかみ):太陽神・皇室の祖神
- 月夜見尊(つきよみのみこと):月の神・夜を統べる神
- 素盞嗚尊(すさのおのみこと):ヤマタノオロチ退治の英雄神
- 大巳貴尊(おおなむちのみこと):大国主命の別名・国造りの神
このように、天地開闢(てんちかいびゃく)から国造りに至るまでの、日本神話の主役級の神様がすべてここに集結しています。
これほど強力な神々が一箇所に鎮座していること自体が、この神社の凄さを物語っています。
恋愛から厄除けまで!「六所神社」の万能すぎるご利益

六柱の有力な神様が鎮座しているため、そのご利益はまさに「万能」です。特定の願いだけでなく、人生のあらゆる局面で守護をいただけます。
- 【縁結び・夫婦円満】最初の夫婦神であるイザナギ・イザナミ、そして多くの女神と結ばれたオオナムチ(大国主)の力により、良縁を引き寄せ、夫婦の絆を深めます。
- 【厄除け・災難除け】ヤマタノオロチを退治したスサノオの武勇により、降りかかる災厄を強力に祓います。
- 【国家安泰・開運招福】最高神であるアマテラスの光が、進むべき道を照らし、運気を上昇させます。
- 【五穀豊穣・商売繁盛】国造りの神々の力により、仕事の成功や生活の安定をもたらします。
迷ったらここへ行け!「出雲国の総社」とは?
六所神社は、かつての「出雲国の総社(そうじゃ)」ですが、この場を借りて総社についてお話しをさせていただきます。
■ 「総社」とは何か?

律令時代、国司(今の県知事のような役職)が着任した際、その国内にある全ての神社を巡拝する決まりがありました。
しかし、すべての神社を回るのは大変な労力です。
そこで、国府(役所)の近くに「国内のすべての神社の神様を合祀した(集めた)神社」を作り、そこにお参りすることで全神社への参拝に代えることができるようにしました。
それが「総社」です。
神社巡りをする際、「どこの神社に行けばいいかわからない」と迷った経験はありませんか? そんな時は、その地域の「一之宮(いちのみや)」か、この「総社(そうじゃ)」にお参りするのが正解です。
総社にはその地域の神様が総動員されているため、地域全体のご加護を一度に受けることができる、非常に効率的かつ強力なパワースポットなのです。

謎多き歴史:「佐久佐神社」論争と八重垣神社
六所神社には、ある歴史的な論争が残されています。
平安時代の法令集『延喜式神名帳』に記載されている古社「佐久佐神社(さくさじんじゃ)」はどこなのか? という問題です。
古くから、この六所神社こそが「佐久佐神社」であるという説(論社)がありました。
しかし、明治5年の調査により、現在は縁結びで有名な「八重垣神社」が式内社・佐久佐神社として認定されました。
これを受けて、当社は「六柱の神を祀る六所神社」として結論付けられましたが、歴史研究家の間ではその後も議論が続いています。
この論争自体が、六所神社が古くから特別な存在として認識されていたことの証でもあります。
神在月には「全国の神々」がまずここに集まる?

出雲地方には、旧暦10月(神在月)に全国の神々が集まりますが、その集合場所について興味深い伝承があります。
一般的には「稲佐の浜」から出雲大社へ向かうと言われていますが、一説には「全国の神々は、まず総社である六所神社へ集まり、旅装を解く」と言われています。
これは、六所神社が古代の役所(国府)に隣接しており、神様の世界でも「まずは役所(総社)に挨拶をして手続きをする」という考え方があったためと考えられます。
神在月(現在の11月頃)に参拝すれば、日本中の神様に出会えるかもしれません。
古代出雲の中心地!意宇六社と静寂の境内
六所神社は、「意宇六社(おうろくしゃ)」の一つに数えられます。
(※意宇六社:熊野大社、神魂神社、八重垣神社、揖夜神社、真名井神社、六所神社)
■ 出雲国府跡と古墳群

鎮座地は「大草町」。ここは古代出雲の政治の中心地「出雲国府」があった場所です。
近くには古墳群も点在しており、古代からこの地が開けた重要な場所であったことがわかります。
■ 静寂に包まれた大社造り

本殿は、出雲特有の建築様式である「大社造り」です。
意宇六社の中でも、六所神社は観光地化されておらず、非常に静かで落ち着いた空気が流れています。
派手なお守り売り場や人混みはありませんが、その分、純粋に神様と向き合える場所です。
鳥のさえずりと風の音しか聞こえない境内で、六柱の神々の威厳を感じてみてはいかがでしょうか。
まとめ:出雲の旅の締めに「総社」へ

出雲大社や八重垣神社を巡った後、あるいは旅の最初に。
出雲国のすべての神様が集まる「総社」六所神社へご挨拶に行きませんか?
古代の役人たちも祈りを捧げたこの場所で、イザナギ・イザナミをはじめとする偉大な神々の万能のパワーを授かり、運気を底上げしましょう。






























