
島根県松江市。古代出雲の歴史が色濃く残る「大庭(おおば)」の地に、静寂に包まれた一社が鎮座しています。
その名は「神魂神社(かもすじんじゃ)」。
出雲大社よりも古い、現存する日本最古の大社造(たいしゃづくり)の本殿を持つこの神社は、国宝にも指定されている知る人ぞ知る最強のパワースポットです。
日本の国生みの母である「伊弉冊大神(イザナミ)」を主祭神とし、縁結びから子宝、そして人生を切り拓く強烈なご利益を授けてくれます。
今回は、古代の祈りの形を今に残す「神籬(ひもろぎ)」や、美しい苔の風景など、神魂神社の見どころとご利益について詳しく解説します。
目次
日本の母神「伊弉冊大神」が授ける、縁結びと生命力の奇跡

神魂神社の最大の特徴は、祀られている神様のスケールの大きさにあります。
■ 御祭神:国生みの夫婦神
- 主祭神:伊弉冊大神(いざなみのおおかみ)
- 合祀:伊弉諾大神(いざなきのおおかみ)
この二柱は、日本の国土を生み、そして多くの神々を生み出した「最初の夫婦神」です。

■ 期待できるご利益
1.【強力な縁結び・夫婦円満】
日本で初めて結婚した夫婦神をお祀りしていることから、男女の縁を結ぶ力は絶大です。
良縁祈願はもちろん、パートナーとの絆を深めたい方にもおすすめです。
2.【安産・子宝】
国生み神話において、この二柱は数えきれないほどの神様を産みました。その神話になぞらえ、子宝祈願や安産、子孫繁栄の守護神としても崇敬されています。
3.【仕事運・金運・諸願成就】
「神の魂(たましい)」と書く社名の通り、ここには根源的な霊験が満ちています。
生命を生み出す力は、新しい仕事を生み出す力や、富を生み出す力にも通じます。
現状を打破し、豊かさを引き寄せる「開運全般」において、底知れぬ霊験を発揮します。
国宝・本殿は「現存する日本最古の大社造」
神魂神社の本殿を見上げると、その圧倒的な存在感に息を呑みます。
■ 室町時代の傑作(国宝)
現在の本殿は、室町時代の天正11年(1583年)に再建されたものです。
出雲大社の本殿(1744年造営)よりも古く、現存する「大社造」としては日本最古の建築物として、国宝に指定されています。
太い柱、高くそびえる千木(ちぎ)、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根。
派手な装飾はなく、質実剛健なその姿からは、古代出雲の人々が神様に抱いていた畏敬の念が伝わってくるようです。

■ 創建の歴史と「大庭大宮」
創建の年代は不詳ですが、社伝によると神代にまで遡ります。
天照皇大神(アマテラス)の命令を受けた天穂日命(アメノホヒノミコト)が、大国主命に出雲の国譲りを促すためにこの地に天降り、出雲の総産土大神(守り神)としてイザナミを祀ったのが始まりとされています。
かつては「大庭大宮(おおばおおみや)」と呼ばれ、出雲国府に近いこの地域の中心的な神社として崇められてきました。
苔むす手水舎と、男坂・女坂の参道
境内への入り口から、すでに神聖な空気が漂っています。
■ 美しすぎる「苔の手水舎」
参拝者がまず心を奪われるのが、自然石をくり抜いて作られた手水舎(ちょうずや)です。
長い年月をかけて岩全体が鮮やかな緑色の苔(コケ)に覆われており、まるでジブリ映画のような、幽玄で美しい景観を作り出しています。
水で清めると同時に、視覚からも癒やされるスポットです。

■ 男坂と女坂
参道には二つのルートがあります。
- 男坂(おとこざか):急勾配の石段。自然石を積み上げた荒々しい造りで、足腰に自信がある方向け。
- 女坂(おんなざか):比較的緩やかな坂道。
どちらを通っても本殿へ辿り着けますが、昔ながらの石段を一歩一歩踏みしめて登ることで、参拝への心の準備が整います。

境内の最深部!古代祭祀の跡「神籬(ひもろぎ)」は見逃し厳禁
本殿にお参りして満足してはいけません。神魂神社の真のパワーは、本殿の裏手にあるかもしれません。
■ 磐座(いわくら)と神籬(ひもろぎ)
本殿の付近には、岩肌が露出したような場所や、岩の割れ目が見受けられます。
これは「神籬(ひもろぎ)」や「磐座(いわくら)」と呼ばれる、古代の信仰形態を残す場所です。

※神籬(ひもろぎ)とは?
社殿(建物)が作られるよりもはるか昔、人々は山、岩、巨木などを神様が降りてくる依り代(よりしろ)として祀っていました。その「神様が宿る場所」そのものを指します。
神魂神社のこの場所は、神が降臨した聖域とも言われています。
人工的な建物がない時代の、荒々しくも純粋な「祈りの原点」に触れられる、境内最強のパワースポットですので、必ず手を合わせてください。
意宇六社と豊富な境内社巡り

神魂神社は、出雲国府跡周辺にある六つの古社「意宇六社(おうろくしゃ)」の一つに数えられます。(他は熊野大社、真名井神社、揖夜神社、六所神社、八重垣神社)。
また、境内には本殿を取り囲むように多くの摂社・末社が鎮座しています。
- 杵築社(きつきしゃ):出雲大社の神様
- 伊勢社(いせしゃ):天照大御神
- 熊野社(くまのしゃ):スサノオノミコト
- 御釜宮(おかまみや)
- 荒神社(こうじんじゃ)
- 外山社(とやましゃ)
- 貴布祢稲荷両神社(きふねいなりりょうじんじゃ)
- 武勇社(ぶゆうしゃ)
- 蛭子社(えびすしゃ)
- 秋葉社(あきばしゃ)
伊勢と出雲の神様が同居していたり、火の神(秋葉)、商売の神(蛭子)など、あらゆるご利益を網羅しています。時間に余裕を持って、一つ一つ丁寧にお参りしましょう。
まとめ:熊野大社と合わせて巡るのがおすすめ

国宝である「最古の大社造」の迫力と、イザナミの大神が鎮まる「神籬」の神秘性。
神魂神社は、観光地化されすぎていないからこそ、本物の神気を感じられる特別な場所です。
また、車で5分~10分ほどの距離には、出雲国一之宮である「熊野大社」も鎮座しています。
「火の発祥の社」である熊野大社と、国生みの神魂神社。
この二社を合わせて参拝することで、出雲の深い歴史とご利益をより強く感じることができるでしょう。
島根を訪れた際は、ぜひこの古代の聖地へ足を運んでみてください。





























