
皆様、こんにちは。千賀喜心です。
日本には古くから、あらゆる自然や物事に神様が宿る「八百万(やおよろず)の神々」という素晴らしい信仰があります。
神社を訪れると、緑豊かな木々や澄んだ空気に心が洗われますが、そこに鎮座されている神様たちは皆、それぞれに特有の「御力(強み)」を持っています。
たとえば、縁結びを強力に後押ししてくださる神様、仕事運の扉を開いてくださる神様、厄をスパッと祓ってくださる神様など、その個性は実に豊かです。
神社でご祈祷を受けたり参拝をしたりする際、ただ何となく手を合わせるのではなく、「今、目の前にいらっしゃる神様はどのようなルーツを持ち、どんなご利益を与えてくださるのか」を知ることは、運気を切り開く上で非常に重要です。
神様の壮大な物語を知れば、「自分はこんなにも力強い神様に見守られているのだ」という深い安心感と、揺るぎない信仰心が生まれます。その「信じる気持ち」こそが、神様とのご縁を深め、運気を劇的にアップさせる最大の鍵なのです。
そこで三ノ輪相談所のコラムでは、皆様が開運への第一歩を踏み出せるよう、日本の神々を定期的にご紹介しています。
第9回目となる今回は、全国の山々を統括し、「金運」や「商売繁盛」に絶大なご利益を持つ山の神、大山津見神(おおやまつみのかみ)をご紹介いたします。
目次
大山津見神(おおやまつみのかみ)とは?
大山津見神は、日本全国の「山の神」の総元締めとも言える、非常にスケールの大きな神様です。
神様のお名前にはその御働きがそのまま表れており、「オオヤマ」は大きな山、「ツ」は古い言葉で「〜の」、「ミ」は「神霊」を意味しています。
つまり、そのまま「大いなる山の神霊」という意味になります。
古事記や日本書紀などの文献、あるいは祀られている神社によって、以下のような別名で呼ばれることもあります。
- 大山祇神(おおやまつみのかみ): 漢字表記の違いですが、神社ではこちらで表記されることが多くあります。
- 和多志大神(わたしのおおかみ): 山の神でありながら「海の神」としての側面を持つ際の別名です。
- 酒解神(さかとけのかみ): 後述する神話に由来し、酒造りの神様としても篤く信仰されています。

「自分の手で稼ぐ力」を育む!金運・商売繁盛・事業成功のご利益
大山津見神のご利益は、農林業の守護、海上安全、酒造りなど多岐に渡りますが、特に目を見張るものがあるのが「金運」「商売繁盛」「事業成功」といった財にまつわるご利益です。
山の神様は、古くから「鉱山の神」としても信仰されてきました。
山から採れる金、銀、銅などの鉱物は「富」の象徴です。
そのため、大山津見神は強力な金運のパワースポットとして全国の経営者や商売人から崇敬を集めています。
ただし、大山津見神がもたらす金運は、宝くじが当たるような「棚ぼた的な運」ではありません。
山の木々が大地に深く根を張り、長い時間をかけて大木へと成長していくように、「自分自身の能力を高め、自らの手で稼ぐ力を得るご利益」に特化しています。
事業の基盤を磐石にし、コツコツと積み上げた努力を大きな成果(財産)へと結びつけてくださる、非常に力強く頼もしい守護神なのです。

日本神話を彩る華麗なる一族!親神と有名な子神たち
大山津見神は、日本の国土を生み出した伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)という偉大な親神から誕生しました(※日本書紀では火の神カグツチから生まれたとする説もあります)。
そして特筆すべきは、大山津見神の「子供たち」が、日本の神話において超重要人物(神様)ばかりだということです。
ヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトの妻となった神大市比売(カムオオイチヒメ)や、クシナダヒメの両親である足名椎神(アシナヅチ)・手名椎神(テナヅチ)も大山津見神の子です。
中でも特に有名なのが、富士山の女神である木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメ)と、その姉である石長比売(イワナガヒメ)の姉妹でしょう。

【神話のエピソード】永遠の命と儚い命
天照大御神の孫であるニニギノミコトが地上に降臨した際、大山津見神は娘のコノハナサクヤヒメとイワナガヒメを二柱一緒に彼のもとへ嫁がせました。
しかし、ニニギノミコトは美しいコノハナサクヤヒメだけを気に入り、容姿の醜いイワナガヒメを実家へ送り返してしまいます。
これを知った大山津見神は大変悲しみ、そして怒りました。
「私が娘を二人一緒に差し出したのには理由があります。イワナガヒメを妻にすれば、天神の御子の命は『岩のように永遠に揺るぎないもの』になり、コノハナサクヤヒメを妻にすれば、『桜の花のように華やかに繁栄する』という誓約(うけい)を立てていたのです。
しかしイワナガヒメを送り返したことで、天神の御子の命は、桜の花のように短く儚いものになってしまうでしょう」
この神話が、神様の子孫である私たち人間の「寿命」ができた由来であると古事記には記されています。
大山津見神のスケールの大きさと、深い思慮が伝わってくるエピソードです。

父と娘の絆!浅間神社と大山阿夫利神社の「両参り」
皆様の住む町にも、富士山を信仰する「浅間神社(せんげんじんじゃ)」があるのではないでしょうか。
浅間神社の御祭神は、先ほど登場した娘の「コノハナサクヤヒメ」です。
そのため、山岳信仰の霊場や全国の浅間神社の境内には、娘を見守るように父である大山津見神(山の神)がセットでお祀りされているのをよく見かけます。
この父娘の絆は、江戸時代に一大ブームを引き起こしました。
神奈川県にある大山(おおやま)の山頂には、大山津見神をお祀りする「大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)」が鎮座しています。
江戸の庶民の間では、富士山(浅間神社)の登拝と合わせ、必ず大山(阿夫利神社)にも登拝する「両参り」の風習が大流行しました。
「富士に登らば大山に登るべし、大山に登らば富士に登るべし」。
娘のところへ行ったら、父親のところにも挨拶に行かなければ「片参り」になり縁起が悪い、という神様同士の繋がりを大切にした江戸の人々の粋な信仰心ですね。

【要注意】大山咋神(おおやまくいのかみ)と混同しないで!
神社を巡っていると、大山咋神(おおやまくいのかみ)というよく似たお名前の神様に出会うことがあります。
名前は似ていますが、全く別の神様ですので注意しましょう。
大山咋神は、滋賀県の日吉大社や京都府の松尾大社などに祀られている神様です。
「咋(くい)」とは「杭(くい)」のことで、「山の所有者」「地主神」という意味合いが強い神様です。
一方で、今回ご紹介している大山津見神(おおやまつみのかみ)は、日本全国の山の神様を束ねるトップ、総元締めのような存在です。
どちらも素晴らしい神様ですが、混同しないように覚えておくと、より深く神様と繋がることができます。

大山津見神が祀られている全国の主な神社10選
全国には、大山津見神(大山祇神)をお祀りする神社が数多く存在します。
商売繁盛や事業成功、自らの手で稼ぐ力を高めたい方は、ぜひお参りに行ってみてください。
- 大山祇神社(愛媛県): 全国の山祇神社、三島神社の総本社。古くから武将たちに武神として信仰された強力なパワースポットです。
- 大山阿夫利神社(神奈川県): 関東総鎮護。江戸時代に「大山詣り」で大流行した、出世運や金運、仕事運の聖地です。
- 三嶋大社(静岡県): 伊豆国一宮。事代主神(えびす様)と共に祀られ、源頼朝が深く信仰したことでも有名です。
- 梅宮大社(京都府): 酒解神(さかとけのかみ)として祀られ、酒造りの神、安産・子授けの神として信仰を集めます。
- 富士山本宮浅間大社(静岡県): 境内の摂社・末社に、御祭神(コノハナサクヤヒメ)の父神として手厚く祀られています。
- 大山神社(広島県): 因島に鎮座する日本最古級の自転車神社としても有名で、建築や交通安全の守護神です。
- 湯泉神社(兵庫県): 有馬温泉の守護神であり、温泉街の繁栄と人々の健康を見守っています。
- 西寒多神社(大分県): 豊後国一宮。古くから大分地方の山岳信仰の拠点として崇敬されてきました。
- 新山神社(岩手県): 東北地方を中心に「新山(しんざん)様」として信仰され、山の神としての恵みをもたらします。
- 全国の山神社(さんじんじゃ・やまのかみじんじゃ): 地域に密着した集落の山裾などに鎮座し、林業や農業を守っています。

おわりに
いかがでしたでしょうか。
大山津見神は、神話の世界で超大物たちのルーツとなるだけでなく、現実の私たちにも「自分の力で財を成す、力強く生き抜く力」を授けてくださる、まるで大山のように頼りがいのある偉大な神様です。
商売や事業に行き詰まりを感じた時や、自分の才能でお金を稼いでいきたいと決意した時は、ぜひ山の神様のもとへ足を運んでみてください。
揺るぎない岩のような精神力と、豊かな実りをもたらす力強い後押しをいただけるはずです。
三ノ輪相談所では、皆様の事業の繁栄と輝かしい未来、そして良きご縁を心よりお祈りしております。
次回も、魅力的な日本の神様をご紹介いたしますので、どうぞお楽しみに。


















































